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井本礼子・Reiko Imoto

神戸で生まれ育ち、幼少の頃より美術に親しむ。使い古された35mm一眼レフカメラを父から譲り受け、1993年に写真を始める。1994年に日本を離れ、その後はアイルランド、イギリス、アメリカに美術留学。2002年にジョージア州・Savannah College of Art and Designより美術学(写真学)修士号を取得。2004年よりベルギーの首都・ブリュッセルに拠点を置き、ヨーロッパ諸国、アメリカ、日本、キューバにおいて、ファインアート写真作家として個展・出版・スライドショー・レクチャーなどの活動を展開している。

1993年から現在までに32回の個展と37回のグループ展が、16カ国の数々のギャラリー、アートセンター、ミュージアム、大学、大使館、国際写真祭、アートフェアなどで開催される。その開催国は日本、英国、米国、ポーランド、スロバキア、ロシア、中国、ベルギー、フランス、スイス、スペイン、スウェーデン、チェコ、ドイツ、キューバ、ギリシャに至る。招待作家として個展が開催された国際写真祭はFotofestiwal(ポーランド・ウッジ、2004年)、Month of Photography (スロバキア・ブラチスラバ、2005年)、Diaporama, festival de photographie (フランス・ナント、2006年)、Fotoseptiembre USA (米国・テキサス・サンアントニオ、2006年、及び 2008年)など。大使館における展示は、日本大使館での個展(ベルギー・ブリュッセル、2006年)、韓国大使館での三人展(日本・東京、2013年)。アートフェアやビエンナーレへの企画出展は、Art Shanghai(中国・上海、2006年)、Fotonoviembre(スペイン・カナリア諸島・テネリフェ、2007年)、Emerging Directors’ Art Fair, ULTRA 004 (日本・東京、2011年)、Art on Paper (ベルギー・ブリュッセル、2013年)など。

代表作の一つで、三連写真のシリーズ『Dreamscapes』(2005年)は、2005年から2014年にかけて、計12カ国(22都市)で展示され好評を博し、2007年には、『Dreamscapes』シリーズと『Dreams of the Amnesiac』(記憶喪失者の夢)シリーズ(2004年)を組み合わせた初のモノグラフ写真作品集『Dreamscapes』が、ポーランドでの巡回展を記念して同政府の出版社OKiSから出版される。これらのシリーズ作品には、言葉には出来ないような夢の領域が、秘密と謎を秘めた空気感を伴いながら表現されている。

日常に潜む不可思議な瞬間をテーマとした『Visions of the Other Side 』シリーズ(2002年) は、過去に個展として、米国(ジョージア州・サバンナ、2002年)、ポーランド(ウッジ、2004年)、ベルギー(ブリュッセル、2006年)、スイス(オーベルヴィール、2010年)日本(神戸、2013年)にて展示される。また、ソラリゼーションやディストーションなどの視覚的効果を使用し“歪んだ時間”の感覚が表現された『Time Traveler’s Diary』シリーズ(2008年)は、個展として、米国(テキサス州・サンアントニオ、2008年)、フランス (ラコスト、2008年)、チェコ(ヘブ、2009年、及び、プラハ、2010年)、日本(神戸、2013年)にて展示される。これら両作品シリーズを組み合わせた写真集 『Visions of the Other Side』が、 2012年春にチェコ・プラハのKANTから出版される。井本作品の中で最もシュルレアリスム色の強い作品集となる。

心理療法として用いられる”箱庭療法”をヒントにして創られた作品シリーズ『箱庭の窓』(2012年)は、東京・中野の冬青社から写真作品集『箱庭の窓』として2012年秋に出版される。そして同時に、ギャラリー冬青(東京・中野)にて出版記念の個展が開催される。同個展はその後、ドイツ・ブレーメン(2013年)、スイス・バーゼル(2014年)でも開催され、写真作品集と共に 高い評価を得る。この写真作品集は、ロマン主義の要素(感情や個性を自由に解き放つことや、自然との一体感、神秘的な体験や永遠無限なるものへの憧れ)が詩的な空気感の中にちりばめられた一冊となっている。

最新写真作品集『CUBA 青い鳥は海の向こうの夢をみる』は、作者の4冊目のモノグラフ作品集となり、作品は、2014年2月に開催されたキューバでの個展(ハバナ、及び、サンチャゴ・デ・キューバ)の期間中に、1ヶ月間キューバに滞在した折に撮影された新作である。その出版記念として、ギャラリー冬青にて個展『CUBA 青い鳥は海の向こうの夢をみる』(2015年7月)が開催される。作者にとって、初のカラー作品シリーズとなる。

写真プリント作品はプライベート及びパブリックコレクションとして、アジア、ヨーロッパ諸国、アメリカなどで所有され、2010年には プリント数枚が、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社のアートコレクション(スイス・バーゼル)に永久収蔵される。日本国内では、ギャラリー冬青(東京・中野)、神戸わたくし美術館(神戸・長田)、ギャラリーTANTO TEMPO(神戸・元町)が所蔵。また、写真作品やインタビューは、数多くの雑誌・新聞に国際的に掲載され、幾つかのアート助成・賞を受ける。2004年にはヨーロッパ全土における若手フォトグラファーの登竜門、『International Portfolio Review』(スロバキア・ブラチスラバ)にてグランプリを受賞。

井本作品に一貫するテーマは、夢、記憶、想像、願いなど、「目を閉じた時にだけ見えるもの」である。作者は日頃から「夢」や「潜在意識」に関する心理学、「寓話」の世界、また「シュルレアリスム・ アート」にも深く傾倒しており、独自の内的世界観 (パーソナル・ヴィジョン) を「もう一つの現実」として認識し、その像を写真に焼き付けるべく制作活動をしている。井本作品は、現実に対する 「答え」ではなく、むしろ現実に対する「問い」を観る者に投げかけている。目には見えないが、日々の狭間にふと顔を出す「無意識」の世界を、写真家として意識的に視覚化し表現し続けることを目指している。